贅沢しない、でも豊か。家康に学ぶ“丁寧な食卓”の知恵

カテゴリ: 食のこと

贅沢しない、でも豊か。家康に学ぶ“丁寧な食卓”の知恵

戦国の世を生き抜き、ついには江戸幕府を開いた徳川家康。
その天下統一と長寿の背景には、政治や軍事の手腕だけでなく “ 質素かつ丁寧 ” という食へのこだわりがありました。
実際、戦国時代の平均寿命が30代とも言われるなか、家康は75歳というかなりの長寿
「長寿こそ勝ち残りの源である」という言葉も残されており、健康にはかなり気を遣っていたようですね。

今回は、そんな家康の「食の流儀」を、ちょっとのぞいてみましょう!

質素な日常食が天下取りの礎?「麦飯と味噌汁」

家康の主食は、当時すでに高級とされていた白米ではなく、なんと麦飯だったそう!
麦には白米よりもビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、日々の健康維持にもってこいの食材です。
毎日欠かさず口にしていたという味噌汁も、大豆の栄養がぎゅっと詰まった優秀な健康食!
家康は幼い頃からこうした質素な食事に慣れ親しんでいたようです。

麦飯は、平安時代から続く「米と麦を混ぜて炊いたご飯」。血糖値の急上昇を抑えたり、お通じを改善する効果もあるんだとか。
味噌汁も具材によって栄養価が変わる万能メニュー。
家康は、こうした食事で日々の体調を整えていたのかもしれません。

地元・浜松の特産物を嗜む

健康への意識が高かった家康は、薬膳の知識にもかなり通じていたそうです。
薬草や漢方の知恵を取り入れながら、自分の体調や季節に合わせて食材を選ぶなど、しっかりと計算された食生活を送っていたんですね。

ここで注目したいのが、出身地・静岡県浜松の豊かな自然
海の幸も山の幸も揃うこの土地で、家康は地元の恵みを上手に食卓に取り入れました。

特にお気に入りだったとされるのが、浜松の特産物である浜納豆とウナギ
ウナギを食べる際には消化を助けるために食事の際に大根おろしを添えていたとも言われており、家康の食に対する細やかなこだわりが伺えます。
四季折々の旬の食材に恵まれた浜松の風土は、家康にとってまさに理想の地だったのかもしれませんね。

ストイックな健康法?「粗食と腹八分目」

家康は「満腹になるまで食べない」ことを徹底していたそう。
常に腹八分目を心がけ、贅沢なごちそうには目もくれず、粗食を貫いた姿勢はまさにストイックですね。
粗食とは、自然の食材をシンプルに調理したもの。腹八分目は、今でいう“食べすぎ防止”の健康法。
消化にやさしく、肥満予防にもつながるので、現代でも見直されている習慣です。

保存食の知恵に光る「干物と漬物」の魅力

家康の食卓には、保存食もたびたび登場していたそうです。
干物や漬物は、戦乱の時代に重宝された“賢い常備食”。栄養価が高く、長持ちするという点でも、理にかなっていますよね。
干物は、魚の旨味をぎゅっと凝縮した一品で、カルシウムやビタミンDもたっぷり。
漬物には、腸内環境を整えてくれる乳酸菌や食物繊維が豊富に含まれています。

家康はこうした食材を上手に活用して、栄養バランスを保っていたのかもしれません。

家康の「丁寧な姿勢」を真似してみよう!

家康の食事には、「贅沢を避け、健康を大切に」という彼の価値観がにじみ出ています。
ただ一方で、地元の特産物であるウナギを楽しむ柔軟さや、体に合った食材を工夫して取り入れる姿勢からは、食を楽しむ心も感じられますね。
家康の食卓は、ただの健康食ではなく、まさに“生き方を映す鏡”だったのかもしれません。
私たちも、彼のように自分に合った食事を見つけて、丁寧に暮らしていくヒントを探してみませんか?

参考文献