品格は“箸先”に宿る。知っておきたい大人の箸づかい

カテゴリ: 食のこと

品格は“箸先”に宿る。知っておきたい大人の箸づかい

毎日の食事で欠かせない、私たちにとってもはや当たり前の道具「お箸」。
何気なく使っていますが、マナー違反とされる嫌い箸(きらいばし)はご存じですか?
「細かいルールは苦手…」と感じるかもしれませんが、これは単なる作法の問題ではありません。
嫌い箸の背景には、古くからの風習や、共に食卓を囲む人への思いやりが深く関わっているんです。

今回は、大人なら知っておきたい「嫌い箸」を詳しく解説します!

あなたは大丈夫?つい、やってしまいがちな“嫌い箸”10選

「嫌い箸」がNGとされるのには、見た目の美しさ、相手への配慮、そして日本の風習に根ざした、さまざまな理由があるんです。
代表的な嫌い箸を、NGな理由と一緒に見ていきましょう。

<絶対に避けたい嫌い箸>

まずは、「嫌い箸」の中でも、特に気をつけたい3つをご紹介します。
日本の風習上、死や仏事を連想させてしまうため、知らずにやると相手を深く不快にさせてしまう可能性のある、最も重要なタブーです。

1. 拾い箸

箸から箸へと料理を渡す行為。
これは火葬後のお骨拾いを連想させるため、最もやってはいけない禁忌(タブー)の一つ。
親しい間柄でも絶対に避けたいですね。

2. 刺し箸

料理にお箸を突き刺して食べること。
滑りやすい煮物などでやりがちですが、これも仏事で故人に供える“立て箸”を彷彿とさせ、不吉とされるため。見た目も美しくありません。

3. 渡し箸

食事の途中、お箸を器の上に橋のように置くこと。
「もう食事は終わりました」という合図になるほか、これも仏事の作法を連想させるため縁起が悪いとされます。
箸置きを使いましょう。

<知っておくと役立つ嫌い箸>

次に、直接的なタブーではないものの、一緒に食事をしている相手への「思いやり」に欠けるものをご紹介します。
場の空気を悪くしないための、大切なマナーとしてぜひ知っておきましょう。

4. 指差し箸

会話の途中などで、箸を持ったまま人や料理を指し示すこと。
そもそも人を指差す行為が失礼にあたりますが、食事の道具である箸で指すのはさらに品格を欠く行為。
会話に夢中になると、ついやってしまいがちなので気をつけましょう。

5. 叩き箸

お箸で器を叩いて音を鳴らしたり、人を呼んだりすること。
お箸を楽器のように扱うのは、行儀が悪いとされる行為。
無意識にカチャカチャと音を立てるのも、食事の雰囲気を壊すので注意しましょう。

6. 寄せ箸

遠くにある器を、箸を使って手元に引き寄せること。
器は手で丁寧に扱うのが基本。お箸を道具のように使うのは、所作が雑に見えてしまいます。

7. 迷い箸

どのおかずを食べようか、料理の上で箸をウロウロさせること。
優柔不断に見え、食事のテンポを乱す原因になります。

<できるだけ避けたい嫌い箸>

そして最後に、自分自身の食べ方の「美しさ」や「品性」に関わるものをご紹介。
自分のだらしない姿は、意外と周りに見られているかもしれません。

8. かき箸

お茶碗に口をつけ、箸でごはんをかき込むように食べること。
食べ方が汚く見えてしまう代表的なNGマナーです。
行儀が悪く、同席者に不快感を与えます。

9. もぎ箸

箸についた米粒などを、口で直接むしり取るように食べること。
食べ物を口で迎えにいくような所作は、品がなく、卑しい印象を与えてしまいます。
子どもっぽくも見えてしまうため、気をつけたい所作の一つです。

10. 涙箸

箸先から汁物をポタポタと垂らしながら口に運ぶこと。
テーブルや他の料理を汚す可能性があり、美しくありません。
小皿を上手に使いましょう。

ハレの日こそ、箸先に配慮を

ふだんの食事でもマナーは大切ですが、特に心を配りたいのが「お祝いの席」や「正式な会食」の場。
お箸の使い方ひとつで、その人の印象が大きく変わってしまうこともあるからです。

たとえば、結婚式やお正月には、両端が細くなった「祝い箸」を使うことがありますよね。
このお箸には「神様と人が共に食事をする」という意味が込められていて、とても神聖なものなんです

そんなおめでたい席で、もし不作法な箸づかいをしてしまうと、せっかくの素敵な雰囲気に水を差してしまうかもしれません。気をつけましょう!

箸の使い方は、気の遣い方

お箸のマナーって、結局は“見た目をきれいにする”ためだけのものではないんですね。
大切なのは、きっと「一緒に食べる人や、作ってくれた人への思いやり」
「嫌い箸」を避けることは、誰かへのちょっとした“気づかい”であり、丁寧な暮らし方そのものなのかもしれませんね。