「香料」ってなんの香り? 表示されない秘密のレシピと安全性
カテゴリ: 食のこと
お菓子や飲み物のパッケージで、「香料」と書かれているのを見たことはありませんか?
実は私たち、毎日のようにこの「香料」を口にしているんです。
でも、「いちご香料」や「バニラ香料」ではなく、ただ「香料」とだけ書かれていることが多いのはなぜでしょう?

そこには、食の楽しさを支える“香りの技術”と、ちょっと意外な表示ルールが関係しているんです。
今回はそんな「香料」について、やさしく解説します!
いい香りにはワケがある!香料ってどんな存在?
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香料とは、食品に特定の香りを与えたり、風味を豊かにしたりするために使われる添加物です。
香りは味覚と密接に結びついており、食べ物のおいしさを左右する重要な要素。
香料は、加工工程で失われがちな香りを補ったり、季節感のあるフルーツの香りを再現したりと、私たちの食体験を向上させる名脇役なのです。
その歴史は古く、なんと古代エジプトやローマの時代から、スパイスやハーブで食品に香りづけが行われていました!
天然は安全?合成はダメ?香料のホントの話
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香料は、その成り立ちから大きく2種類に分けられます。
天然香料
植物(果実、スパイス、花など)や動物から、香りの成分を抽出したものです。
自然で複雑な香りが特徴ですが、「天然=100%安全」というわけではありません。
人によってはアレルギーの原因になることもありますし、例えばシナモンに含まれる「クマリン」のように、天然成分にも過剰摂取による健康リスクが指摘されるものは存在します。
合成香料
化学的な技術を用いて作られる香料です。
天然の香り成分と全く同じ構造のものを合成したり、天然には存在しない新しい香りを作り出したりすることも可能です。
コストを抑えられるだけでなく、不純物が少なく純度が高いため、品質が安定しているという大きなメリットがあり、多くの加工食品で活用されています。
「天然は安全で、合成は危険」というイメージは、必ずしも正しくないのです。
なんで「香料」ってまとめちゃうの?3つのワケ
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ところで、裏面ラベルにはなぜ個別の成分名ではなく「香料」とまとめて表示されるのでしょうか?
これは「食品表示法」に基づく国のルール(食品表示基準)で認められており、主に以下の3つの理由があります。
使用量がごく微量であるため
香料は風味に大きな影響を与えるため、食品全体から見るとほんのわずかな量しか使われません。
種類が極めて多く、表示が複雑になるため
一つの香り(例えば「いちごの香り」)を再現するために、数十種類の香料化合物をブレンドすることも珍しくありません。
これら全てを記載すると、原材料表示が非常に長大で分かりにくくなってしまいます。
企業の「香りのレシピ」という知的財産を守るため
どのような成分を、どの比率で配合するかは、メーカーの長年の研究開発によって生み出された「企業秘密」です。
この独自のレシピを守る目的もあります。
香料のルールをのぞいてみよう
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「じゃあ、安全性は大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんね。
香料の安全性は、以下のような仕組みで確保されています。
まず、日本では国(厚生労働省)が安全性を評価し、食品への使用が認められた物質をリスト化しています。
事業者は、原則としてこのリストに掲載された香料しか使用できません。
そして、事業者はそのリストの中から香料を選び、社会通念上、適切とされる範囲の量を使用しています。
実は、保存料や着色料とは異なり、多くの香料には「この食品に使ってよいのは〇%まで」という具体的な使用量の上限が定められていません。
これは、香料が風味を損なわないよう、ごく微量しか使われないという実態に基づいており、事業者の適切な管理に委ねられている側面があります。
知るからこそ安心できる香料のはなし
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「香料」と一括表示されるのは、わかりやすさや企業秘密を守るための工夫。
そしてその安全性は、国のルールとメーカーの管理体制でしっかり守られているんですね!
なんとなく不安…と感じていた方も、「香料」の仕組みを知ることで、食品表示が少し身近に感じられたのではないでしょうか?