「発色剤」って何?ウインナーが赤い理由を知ろう

「発色剤」って何?ウインナーが赤い理由を知ろう

食のこと

あの赤い色、着色料じゃないの?

ウインナーやハム、ベーコンなどの加工肉。きれいなピンク〜赤色が食欲をそそりますよね。

この色は「着色料で作られている」と思われがちですが、実は 発色剤が肉本来の色を安定させている ことが多いのです。
商品によっては着色料を併用しているものもありますが、基本的な赤色づくりには発色剤が大きく関わっています。

「発色剤ってなに?」「なんだか怖そう…」と思う方もいるかもしれません。
今回は、この食品添加物について、正しい情報をやさしく解説します。

発色剤は、色を“つける”のではなく“引き出す”

着色料と発色剤の決定的な違いは簡単。

  • 着色料:色を人工的に“加える”
  • 発色剤:肉に含まれる成分と反応して“発色させる”

ウインナーやハムの原料である豚肉・牛肉には「ミオグロビン」という赤い色素たんぱく質が含まれています。
ミオグロビンはもともと赤い色ですが、空気や熱で褐色〜茶色に変化しやすい性質があります。
ここに発色剤(亜硝酸ナトリウム)を加えると反応し、加熱しても安定した鮮やかなピンク〜赤色になります。

つまり、食品中のたんぱく質に働きかけて色を安定させるのが“発色剤”なのです。

見た目だけじゃない、大事な“保存性”の役割も

発色剤には、 ボツリヌス菌の増殖を抑えるという重要な役割もあります。

ボツリヌス菌は酸素が少ない環境で増える恐れのある危険な細菌で、強力な毒素を作ることで知られています。
亜硝酸ナトリウムには、この菌が増えにくくなる性質があるため、食中毒対策として長く使われてきました。

つまり、発色剤は「見た目をよくする」だけでなく、「食品を安全に扱うための工夫」でもあるのです。

発がん性のウワサ、本当なの?

「発色剤=危険」というイメージの背景には、亜硝酸塩が発がん性物質をつくる可能性があるという話があります。

確かに研究では、たんぱく質と一緒に摂取すると体内で“ニトロソアミン”という発がん性物質が生成される可能性が指摘されています。
ただしこれは「大量に」「長期間」摂取した場合の動物実験によるもので、通常の食生活で摂取する量では極めて低リスクと評価されています(※日本食品安全委員会やFAO/WHOの評価に基づく)

さらに日本では使用量が厳しく制限され、上限(1kgあたり70ppm以下)を超えないよう徹底管理されています。

発色剤を使わない、無塩せきウインナー

最近は「無塩せき」と表示された、発色剤を使わずに作ったウインナーやハムも増えており、自然派や無添加志向の人に人気です。
ただし、発色剤なしだと色がやや灰色っぽくなったり、日持ちが短くなったりすることががあり、製造や流通の管理には高い技術が求められます。

どちらが“良い”かは目的やライフスタイル次第です。

まとめ:発色剤も“使い方次第”で安心できる存在に

ウインナーの赤い色は、単に色をつけているのではなく、肉の持つ色を引き出して安定させる“化学の工夫”のおかげです。
発色剤には「色」「保存性」「安全性」の役割があり、長年の使用実績と厳しい管理のもとで使われています。

「なんとなく不安…」と感じたら、表示を確認したり、自分に合った商品を選んだりすることで、食への不安もぐっと減らせます。

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