第5話:スマホで探す自分だけのダイエット

カテゴリ: ライフスタイル

第5話:スマホで探す自分だけのダイエット

この「"痩せたい”欲は時代をまたぐ」シリーズも、とうとう第5話!

今回遡るのは2010年代です。

ダイエットは「みんなが同じ方法を試す」時代から、「スマートフォンを片手に、無数の選択肢から自分に合う方法を探す」時代へと大きな転換期を迎えました。

爆発的に普及したスマホが、私たちの健康管理のスタイルを根本から変えたのです。

今回は、そんな多様化の時代を振り返ってみましょう。


新たな食トレンドが続々

2010年代のダイエットは「食」の選択肢が一気に広がりました。
その筆頭が「糖質オフ」
プライベートジムの流行とともに注目を集め、炭水化物を控えるスタイルが一大ブームに。
緩やかな糖質制限」や「ロカボ」など、取り入れ方の幅も広がっていきました。

また、2014年前後には海外セレブ発のブームとして「ココナッツオイル」がスーパーフード扱いされ、中鎖脂肪酸が「脂肪燃焼を助ける」と話題に。
科学的な裏付けは不十分でしたが、当時は雑誌やネットで広く取り上げられ、多くの人が日常に取り入れたのです。

同じ頃、「酵素ドリンク」もファスティングや置き換えダイエットに使われ、「体内環境を整える」と宣伝されました。
実際には体内の酵素を増やす効果は確認されていませんが、「自然派」「デトックス」といった価値観と結びつき、特に女性を中心に人気を集めました。

こうしたブームの背景には、ネットやSNSで情報を集め、まずは自分で試してみるという、新しい消費行動が根付いていたのです。

社会現象となったTRFダンササイズ

運動の世界でも、「辛いトレーニングから楽しく続ける」へのシフトが鮮明になったのが2010年代でした。

象徴的なのは、DVD付きエクササイズ本の大ヒットです。
2010年から流行した「カーヴィーダンス」は、簡単な動きで「女性らしい曲線美をつくる」と話題に。


また「TRFダンササイズ」が社会現象となり、ヒット曲に合わせて踊る楽しさでエクササイズのイメージを刷新しました。

(出典:HMV&Books online公式サイト

これらは、のちにYouTubeやフィットネス配信へと広がる「宅トレ文化」に繋がっていきます。

ちょい足し健康法も多彩に

日常に取り入れやすい「小さな工夫」系の健康法も、この時代に数多く生まれました。

2011年に出版された『寝るだけ!骨盤枕ダイエット』は、骨盤の歪みを整えて代謝を上げると宣伝され、200万部を超えるベストセラーに。

科学的根拠は限定的でしたが、「寝るだけ」という手軽さが大ヒットの理由でした。

さらに、体のリズムに合わせて食事や運動のタイミングを最適化する「体内時計ダイエット」も登場。
時間栄養学という新しい研究分野と結びついて注目を浴びました。

一方で、以前から知られていた「耳つぼダイエット」も簡単にできる方法としてエステやサロンで紹介され、一定の人気を保っていました。

アプリが変えたダイエットの常識

こうした多様な方法が次々と生まれた背景には、スマートフォンの普及がありました。

食事の記録や体重管理、歩数の計測まで、すべてをスマホアプリひとつで完結できるようになったのです。

また、ネットで口コミを検索し、試してみて、成果をSNSでシェアする流れも一般化。
一人ひとりが自分の体の実験台となり、まるで「自分自身のパーソナルトレーナー」としてダイエットに取り組むような時代が到来したのです。

自分だけの正解を見つける旅の始まり

2010年代のダイエットを振り返ると、最大の特徴は「選択肢の多さ」でした。

スマホという強力なツールを得たことで、専門家やテレビに頼るだけでなく、自分で情報を集め、取捨選択しながら「自分に合う方法」を模索する姿勢が広がったのです。

そしてこの流れは2020年代へと進み、テクノロジーと健康意識の融合へと進化していきます。

次回予告:2020年代「テクノロジーと健康意識の融合」

次回は2020年代のダイエット事情を掘り下げます。
最新のテクノロジーやサステナブル志向の高まりの中で、どんな新しい健康法が生まれているのか、一緒に見ていきましょう!