コンビニおにぎりが冷めても美味しい理由は?pH調整剤のはなし
カテゴリ: 食のこと
ハム、麺類、おにぎり、カット野菜。
スーパーやコンビニで手に取る加工食品のパッケージに、「pH調整剤」と書かれているのを見たことはありませんか?
名前は聞いたことがあっても、何をしているのか実はよく知らない…という方も多いのではないでしょうか。
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実はこのpH調整剤、食品の「安全性」と「おいしさ」を支える、大切な役割を担っているんです。
今回は、そんな“名脇役”の正体に迫ってみましょう!
食品を守る!pH調整剤の大切なミッション
微生物の繁殖を抑える
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pH調整剤の役割は、食品の酸性・アルカリ性の度合い(=pH値)を調整すること。
これによって、食品の状態を安定させるさまざまな効果が生まれます。
まずひとつめは、「微生物の繁殖を抑えて、安全に保つこと」。
細菌やカビ、酵母などの微生物は、それぞれ増殖しやすいpHの範囲を持っています。
食品のpHを微生物にとって好ましくない環境(たとえば弱酸性)にすることで、繁殖を抑制できるんです。
たとえばハムやソーセージなどの加工肉や、日持ちする生麺などにはpH調整剤がよく使われています。
カット野菜に使われるケースもあり、冷蔵保存中の雑菌の増殖を抑える手助けをしてくれています。
品質キープにも活躍

pH調整剤は、安全性だけでなく「品質」を守る面でも活躍しています。
たとえば、切ったリンゴが茶色く変色するのは、酵素による酸化反応が原因。
pH調整剤でこの酵素の働きを弱めることで、見た目の鮮度を保つことができます。
また、ジャムやゼリーのとろみは「ペクチン」という成分が適切なpHで働くことで生まれますが、pH調整剤がこの食感の調整にも一役買っているんです。
さらに、適度な酸味が味を引き締める効果も。
酸味を加える目的で使われる場合は「酸味料」として表示されることもありますが、用途によってはpH調整剤として記載されている場合もあります。
コンビニおにぎりにも欠かせない

身近な例として、コンビニのおにぎりを見てみましょう。
実はpH調整剤は、ごはんの「保存」と「食感」の両面に関わっています。
ごはんのでんぷんは、時間がたつと「老化」と呼ばれる変化を起こして硬くなってしまいます。
pH調整によってこの現象をある程度ゆるやかにすることができるという研究報告もあり、冷めてもふっくら感を保ちやすくなる可能性があるんです。
さらに、酸性寄りの環境に保つことで、菌の増殖も抑えられ、食中毒リスクの低減にもつながっています。
もちろん、おにぎりの美味しさはpH調整剤だけでなく、ごはんのツヤを出す植物油や、鮮度を保つ包装技術などとの“チームプレー”によって支えられています。
成分は意外と身近なもの
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pH調整剤には、クエン酸(レモンなどに含まれる成分)や乳酸(ヨーグルトなどに含まれる成分)、リン酸塩などが使われています。
いずれも、食品衛生法に基づいて国が安全性を評価し、使用が認められたものです。
また、同じ目的で複数の物質を使うことが多いため、食品表示では「pH調整剤」とまとめて表記する「一括表示」が認められています。
ちょっと分かりづらいですが、それぞれの目的に応じて適切に使われているんですね。
目立たないけれど頼れる存在
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変色や食感の変化、菌の繁殖といったトラブルを防ぎ、私たちが安心しておいしく食品を楽しめるよう支えてくれています。
もちろん、食品添加物全般に言えることですが、「何のために使われているのか」を知ったうえで、納得して選ぶことが大切ですね。