エリザベス1世は“スパイス”に恋をした!香りで世界を動かした女王の食卓術
カテゴリ: 食のこと
「イングランド黄金時代」を築いた女王、エリザベス1世。
数々の陰謀と危機を乗り越え、国の繁栄を導いた彼女のリーダーシップは、いまなお多くの人に語り継がれています。
でもじつは、彼女の“食”にも、女王らしい強いこだわりがあったってご存知でしたか?
その鍵は、「香り」――つまりスパイスにあります。
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当時はまだスパイスが“金よりも貴重”だった時代。エリザベス1世はその香りの魔力に魅了され、食卓でも外交でも、見事にスパイスを使いこなしていたようなんです。
今回は、世界を動かした香りと共にあった、エリザベス1世の“おしゃれで戦略的”な食卓術をのぞいてみましょう!
スパイスは“富”の象徴だった!
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エリザベス1世が即位した16世紀のイングランドでは、スパイスはとにかく高級品。
とくに人気だったのは、クローブ、シナモン、ナツメグ、ジンジャーなどの香辛料。
わずか数グラムで使用人の年収分に相当するほどの価値がありました。
そんな中、宮廷の食卓には惜しみなくスパイスが使われていたとか。
エリザベス女王は、豪華な食事でもてなしを演出するのが大得意。
ジビエや魚にたっぷりの香辛料を使い、料理に“香りの衣”をまとわせていたそうです。
料理そのものの味を際立たせるというよりは、「この香りがあるということは、それだけで私たちは豊かである」と示す、いわば香りのドレスコードのようなものだったのかもしれませんね。
香りの力でイングランドを強くした?
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女王のスパイス好きは、ただの贅沢ではありませんでした。
エリザベス1世は、スパイスが国家経済と密接に関わっていることを理解していた、極めて“戦略的”な人物だったのです。
彼女はアジアとの香辛料貿易を支配するため、東インド会社の設立(1600年)を認可。これは、イギリス帝国のグローバル経済進出の第一歩ともいえる出来事でした。
つまり、スパイスはただの調味料ではなく、国家の命運をかけた“香る外交ツール”だったんですね。
食卓で好んで使っていたスパイスも、実はその経済的メッセージの一部。香り立つ料理は、彼女の美意識と同時に、イングランドの商業的野望をも象徴していたのかもしれません。
健康管理にも!“ストレス社会”を生き抜いた知恵
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絶え間ない政争、処刑、裏切り…エリザベス1世の人生は波乱に満ちていました。
そんな中、スパイスは彼女にとって「癒し」としても機能していたようです。
当時は、ジンジャーやクローブなどが“身体を温め、病を遠ざける”と信じられていました。実際、抗菌作用や消化促進など、現代でも注目される効能を持つスパイスも多くあります。
心を鎮めるハーブティー、胃を整える香辛料入りの菓子――。
戦う女王の毎日には、さりげなく「食のセルフケア」が組み込まれていたのかもしれません。
現代で言えば、ラベンダーの香りで気分転換したり、シナモン入りのホットミルクを寝る前に飲んだり…そんな感覚に近いですね。
私たちも、女王の「スパイス愛」を拝借!

エリザベス1世の“食”を追っていくと、そこには明確な意図と戦略、そして豊かな感性が見えてきます。
スパイスの香りは、彼女の知性とセンスそのものだったのかもしれません。
豊かさの象徴として。
経済の起爆剤として。
そして、女王自身を癒す静かな味方として。
香りを味方につけるそのセンスは、現代でも見習いたいところですね。
たとえば、ちょっと疲れた日にスパイスたっぷりのチャイを淹れてみる。
いつものスープにクローブを一粒加えてみる。
それだけで、きっと食卓が少しだけ“優雅”になる気がしませんか?