畳のあなた、見られてます! 会食で差がつくお座敷マナーの心得
カテゴリ: 食のこと
お座敷での食事は、日本の伝統文化に触れられる、ちょっと特別なひとときですね。
格式を大切にしながらも心地よく過ごすためには、所作のひとつひとつに気を配ることが大切です。
今回はそんな大人のマナーが試される「お座敷での食事」のポイントをチェックしていきましょう!

入室から着座までの基本ルール
①履物を脱ぐ
座敷に入る際は、相手に背中を見せないように正面を向いて靴を脱ぎます。
玄関で履物を脱いだら、履き口を揃え、脱いだままの向きで揃えましょう。
靴を揃える場合は、室内の人に背を向けないようにしながら、少し斜めの角度をとってかがみましょう。脱いだ靴は下座側の端に寄せて置きます。
スタッフの方が靴を預かってくださる場合は、感謝の言葉を一言かけて、前を向いて脱ぎ、そのままお任せしても大丈夫です。
②入室
襖の前では、軽く控えめにノックを。開け閉めは音を立てないよう、そっと行います。
部屋に入ったら、まず床の間(かけ軸や生け花などが飾られている、部屋の奥の中心)に一礼しましょう。
③挨拶、着座
主催者や目上の方へ簡潔に自己紹介をし、お招きいただいた感謝の気持ちを伝えます。
その後、案内された席に座ります。座布団には、勧められてから座るのがスマートなふるまいです。
靴下の準備を忘れずに!

畳の上を素足で歩くのはマナー違反とされているため、必ず靴下を履きましょう。
夏場でも、男性は靴下、女性は靴下またはストッキングを着用するのが基本です。
浴衣のときは足袋を履くのが望ましいですね。
いざという時のために、予備の靴下をバッグに忍ばせておくと安心です。
忘れてしまった場合は、主催者に相談してみるのも良いでしょう。
改めてチェック!上座と下座
お座敷には「上座(かみざ)」と「下座(しもざ)」があります。
お客様は上座にご案内するのが基本のマナーですね。
一般的にお座敷では、床の間を背にした場所が上座、出入口に近い場所が下座とされています。
しかし、眺めがいい部屋の場合は、景色を正面から見ることができる位置が上座になる場合もあります。
余裕があれば、あらかじめお店の方に確認しておくと安心です。
料理への敬意と美しい所作を忘れずに

お箸や器の扱い方は、食事そのものを楽しむだけでなく、料理を作ってくれた方への感謝を伝える大切な手段です。
箸は親指、人差し指、中指でしっかりと持ち、薬指と小指はそっと添えるようにしましょう。
食事中、箸は器の上に渡さず、箸置きへ戻しましょう。
器は基本的に両手で丁寧に扱いますが、大きくて重いものは無理に持ち上げず、置いたままでいただいて大丈夫。
料理を盛り付ける際には器の美しい模様を隠さないように配慮するのも、さりげない気遣いですね。
気の利く振る舞いと会話で交流を深める
お座敷でのお酒の席は、交流を深める場でもあります。そのためには、和やかかつ円滑に、その場を運ぶことが重要です。
まず、お酒を注ぐときは、瓶のラベルを相手に見えるように持ち、グラスの7〜8割程度を目安に注ぎましょう。
目上の方や初対面の方には積極的に声をかけてお酌をしていくと良いですが、相手のペースや意向を尊重し、無理強いは避けましょう。

そしてもう一つ気をつけるべきなのは、会話の内容です。
共通の趣味や旅の思い出など、明るくポジティブな話題を積極的に選び、政治や宗教、噂話、内緒話など、場を不快にする可能性のある話題は避けるのが賢明です。
気を緩めずに!帰る時も抜け目なく

まずは宴を催してくれた主催者や、お世話になった仲居さんなどに、改めて感謝の気持ちを伝えましょう。
そして、席を立つ前には忘れ物がないか、テーブルの上や席の周りをしっかりと確認します。
可能であれば、目上の方が退室されるのを見送ったうえで再度お礼を伝えると、さらに印象が良くなりますよ。
振る舞いひとつで、印象もぐっとアップ!
お座敷での食事は、単なる「ごちそうの時間」ではなく、日本文化の粋に触れる大切な体験でもあります。
どうぞ、美しいふるまいとともに、心温まるひとときを楽しんでくださいね!