イギリス経由でやってきた!?カレーライスの意外な誕生物語

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イギリス経由でやってきた!?カレーライスの意外な誕生物語

カレーライスって、子どもから大人まで大好きな、まさに国民食ですよね。
でも、あのスパイシーな料理がどうして日本でこれほど定着したのか、不思議に思ったことはありませんか?


今回は、そんな“当たり前”の裏にある、ちょっと意外なカレーライスの誕生秘話をひもといてみましょう!

カレーはインド生まれ、でも日本のカレーはイギリス育ち?

「カレー」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やっぱりインドですよ。
たくさんのスパイスを駆使して作られる「カリー」は、インドの家庭料理として長く愛されてきました。
ところが、私たちが食べている“カレーライス”は、インドのカレーとはちょっと違います。


それもそのはず、日本のカレーは イギリス経由で伝わってきたものなんです!

19世紀、イギリスはインドを植民地として支配していた時代がありました。
そこで出会ったスパイシーなインド料理を、自国風にアレンジしたのが「カレー・シチュー」。
小麦粉でとろみをつけ肉や野菜を加えたこの料理は、のちにイギリスから日本に「文明開化」の一環として伝わり、日本式カレーの原型となりました

ちなみに、1872年(明治5年)に発行された『西洋料理指南』には、すでにカレー粉を使った煮込み料理のレシピが登場していたそう!
これが日本で記録された“最初のカレー”とも言われています。

広まったきっかけは…なんと軍隊!?

でも、明治のころからカレーが大流行していたかというと、実はそうではありません。
日本にカレーが広まる大きなきっかけとなったのは、なんと「軍隊の食事」だったんです!

当時、日本の海軍はイギリス海軍を手本にしていました。
その中で、栄養バランスがよく、大量調理がしやすい料理としてカレーが採用されたのです。小麦粉でとろみをつけることで腐りにくく、船の上でも保存しやすいというメリットもありました。

それが「海軍カレー」として定着していったわけですね。

学校給食とルウの登場で“みんなの味”に

退役軍人たちが各地に戻り、食堂や家庭でレシピを再現したことにより、少しずつカレーが“庶民の味”として浸透していきます。

昭和に入ると、学校給食にもカレーが登場
子どもたちに大人気となり、カレーはさらに定番化していきます。

1960年代には、おなじみのカレールウが登場し、ハウス食品の「バーモントカレー」や、エスビー食品の「ゴールデンカレー」などが発売され、甘口・中辛・辛口など味のバリエーションも広がりました

チョコレートやりんご、ソース、インスタントコーヒーなどを“隠し味”に使う家庭も増えていき、それぞれの「家の味」へと進化していきました。

ご当地からスパイスまで、広がるカレーの世界

時代が進むにつれて、カレーはさらに多様化していきます。
たとえば、北海道のスープカレーや金沢カレー、横須賀の海軍カレーなど、“ご当地カレー”も登場して全国に広がっていきました。

▲トンカツがのった金沢カレー

また、最近では本場インドのスパイスカレーも注目を集めています。
さらっとしたルーとスパイスの豊かな香りが特徴で、ヴィーガン対応や糖質オフなど種類も豊富。健康志向の人にもぴったりなんです。

それぞれの食卓にある、カレーの物語

こうして振り返ってみると、カレーライスって本当に“旅をしてきた料理”なんですね。
インドで生まれ、イギリスを経由して、そして日本で独自にアレンジされ、その結果日本中の家庭で愛される「うちの味」になっていったんです。

今夜の食卓にカレーが並んでいたら、ちょっとだけその歴史に思いをはせてみても面白いかもしれませんね。
あなたのカレーには、どんな秘密の隠し味があるんでしょう?

参考文献