黒い卵の正体は?600年前に生まれたピータンの秘密

カテゴリ: 食のこと

黒い卵の正体は?600年前に生まれたピータンの秘密

黒くてつやつや、黄身はねっとりとろ〜り。
ひと目見たら忘れられない不思議な卵――それが「ピータン」です。

見た目のインパクトに思わず「これは食べ物なの?」と戸惑ってしまうかもしれませんね。
でも実はこのピータン、中国ではとてもポピュラーな存在
日常の食卓やレストランの前菜などで広く親しまれていて、冷蔵庫に常備しているご家庭も少なくないそうです!

今回は、ちょっと不思議で奥深い「ピータン」の世界をのぞいてみましょう。

ピータンは何の卵?どうやってできているの?

ピータン(皮蛋)は、主にアヒルの卵を原料に作られます
卵を石灰、木炭、塩、茶葉、麦の殻などを混ぜたアルカリ性のペーストに包み、数週間から数ヶ月熟成させることで完成します。
漬け込んでいる間に、卵のたんぱく質がアルカリによって分解され、卵白は琥珀色のゼリーに、黄身はとろけるような深緑色に変化。
こうして独特の香りと風味が生まれるんですね。
製法によっては、強いアンモニア臭が出ることもありますが、近年ではにおいを抑えた商品も多く、初心者でも試しやすくなっています。
ちなみに「ピータン(皮蛋)」の名前は、「皮=殻を残したまま」「蛋=卵を漬け込む」という由来から来ているともいわれています

約600年前の偶然から生まれた?ピータンの驚きの起源

ピータンの誕生にはいくつかの興味深い説が存在しますが、最も広く知られているのは、明の時代(約600年前)の中国における偶然の発見というエピソードです。

ある日、とある家の主人が誤って、アヒルの卵を石灰を塗った壁の材料の中に置き忘れてしまったと言われています。
数ヶ月後、その卵が発見されたとき、殻の中身は驚くべき変化を遂げていました。
見た目は奇妙でしたが、恐る恐る口にしてみると、意外にも美味しかったのです!
この偶然の出来事がきっかけとなり、腐敗を防ぎながらも美味しく卵を保存する方法として、ピータンの製法が発展していったと考えられています。

当時は冷蔵技術がなく、食品を長期保存する工夫が欠かせませんでした。
発酵や塩漬けなどの知恵が生まれた背景には、食材を無駄にしない先人たちの努力と、偶然を受け入れる柔軟さがあったのかもしれませんね。

ピータンのおすすめの食べ方は?美味しいの?

現代でも、その独特な見た目と香りが原因で「怖い」「臭そう」といったイメージを持たれがちなピータン。
でも、食べ方を工夫すれば驚くほど食べやすく、むしろやみつきになる人も多いんです!

代表的な食べ方といえば「ピータン豆腐」
冷やした絹ごし豆腐に刻んだピータンをのせ、ネギや生姜、醤油、ごま油をかけるだけの簡単メニュー。
豆腐のまろやかさがピータンのコクと絶妙にマッチして、クセも気にならず、とっても食べやすい一品です!


もう一つの定番は、中国式おかゆ「ピータン粥」
白がゆに刻んだピータンと豚肉を入れて煮込むと、滋味深い味がスープに溶け出し、やさしい味わいになります。
体調が優れないときや朝食にもぴったりですね。

初めてピータンを食べる際のコツは、いきなりそのまま食べないこと
香味野菜や醤油、ごま油などの調味料と一緒に食べることで、独特の風味が和らぎ、食べやすくなります。
慣れてくると、そのままでも、あるいは他の食材との組み合わせで、ピータンならではの風味と食感を楽しむことができるようになります。

一歩踏み出せば、新しい美味しさがそこに!

見た目のインパクトから敬遠されがちなピータンですが、食わず嫌いはもったいない!
ぜひ、まずは身近な豆腐と合わせて試してみてはいかがですか?